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文化史学科

学科紹介

さまざまな視点から、文化を歴史的に学びます

私たちの学科では、日々の衣食住や生活習慣、信仰などの身近なことから、ひろく社会や政治?経済、環境問題にいたるまでの人間の営みの総体を「文化」と捉えます。そうした広い意味での文化を、歴史的な変遷をよみとって研究します。

たとえば、みなさんが日常的に利用しているSNSは、現代の情報化と技術革新のなかで出現?進化し、私たちの日常生活における新たな習慣やライフスタイルを生み出しています。その一方で、SNSを通したコミュニケーションは、人と人とのつながりをめぐる歴史的変遷の一コマとして捉えることもできます。このような文化史の学びを深めるため、私たちの学科では、日本史学?民俗学?文化人類学という3つの学問分野をともに学ぶことができる独特のカリキュラム編成を行っています。

文化史学科は、私たちが直面する(直面した)さまざまな問題を多角的?多面的に分析し、混迷する現代社会を一人ひとりがよりよく生きていくための学びをめざしています。

文化史学科の特色

日本史学?民俗学?文化人類学の三本柱で文化を学びます

「文化」を学ぶ

政治?経済?社会などの分野を超えて、「文化」という総合的な視点から日本の歴史を学びます。

「見る?聞く?感じる」

過去から現在に至る人々の日常生活の移り変わりを、「見る?聞く?感じる」ことを通して学びます。

相互理解を深める

世界中に広がる文化と社会の比較を通して、共通すること/異なることに気づき、相互理解を深めます。

こんなことが「学びのテーマ」

漁師が漁船につける名前

船は漁師にとって命を預ける大切な存在。船の名前、とくに娘や妻など、家族の女性の名前をつけることが多かったのはなぜでしょう。

ペットは家族といえるのか

最近はペットも家族と言われますが、人間の家族とペットとの扱いの決定的な違いはどんなところに表れるでしょうか。

郷土食の現代的展開

食べ物の地域的特色は、現代のファストフード化で喪失するかというと、そうとは限りません。ご当地グルメのように、メディアを通じて新たな地域差が生み出されていくこともあります。

フィールドワークを実践し、文化の多様性を学ぶ

文化史実習

1年次で身につけた歴史学?民俗学?文化人類学に関する基礎的な知識をより確かなものにするための実習でフィールドワークを実施し、資料収集の基礎作業や調査報告書の記述方法まで一貫した流れを学びます。

詳しい紹介

学科研修旅行

毎年、それまでに学んできたことを実地に体験し、学生相互あるいは学生と教員の親睦を深めるために、3年次学生全員が参加する「文化史学科研修旅行」(2泊3日)を実施しています。

詳しい紹介

関連研究所(民俗学研究所/グローカル研究センター)

日本民俗学の創始者?柳田國男の寄贈書を収めた「柳田文庫」を基板とした知の宝庫「民俗学研究所」と、世界的にもユニークな「グローカル研究」を構想し、推進する「グローカル研究センター」があります。

詳しい紹介

4年間の修学ステップ

民俗学の創始者の蔵書など資料が豊富!
学外での研究も多く実践的に学びます

01日本史?民俗学?文化人類学の視点から

文化とは、人間が積み上げてきた知識と知恵の総体です。
その文化の多様性を学び、現代社会の成り立ちを理解するのが本学科の目的です

02地域?時代ごとの文化を考える

複数の視点から、日本、さらには東アジアの生活?文化の発生?変遷、そして現代社会とのつながりを考えます。

03フィールドワークを重視

体験的?実践的な研究を重視し、さまざまな機会を捉えて、現地調査を行います。
学科単位の研修旅行も実施します。

カリキュラムの紹介

概論科目
  • 文化史概論

     日本史学を学ぶための基礎的事項について講義する。まずは、歴史?歴史学とは何かということに関わらせて、「日本史」なるものの有効性について取り上げる。ついで、日本史学史について講義する。さらに、歴史学は残された史料に基づいて考えることから出発する学問であるため、いくつか史料を選んで、その講読を行う。

実習科目
  • 文化史実習

     「史料を筆写する」と副題をつけましたが、要は史料がきちんと読めるか、また、理解できるか。そして、きちんと読んだ史料の内容をどのようにして正しく伝えるかということです。史料を読むといってもさまざまなレベルがありますが、全くの古文書読解の初心者ではなく文化史基礎演習Ⅰで実践した程度のレベルを想定しています。用いる史料は、近世の村方史料のほか、版本、近代の新聞?雑誌からも選びます。その中には、担当者がこれまでに収集した近世?近代文書も範囲に含めます。前期のうちは、受講生全員に同じ文書に取り組んでいただく予定ですが、後期には、各自の関心?能力に応じた文書を自ら選択して取り組んでいただきます。この授業を通じて、史料を正確に読み、それを正確に伝える能力を養います。夏季休暇中には、史料保存利用機関の見学を学内外における実習として行います。

演習科目
  • 文化史基礎演習

     主として近世の史料の読解に接しながら、歴史を学ぶ、また歴史から学ぶ方法について考えます。たとえば、近世の村落に伝わる「検地帳(水帳)」「人別送り証文」「年貢皆済目録」「村明細」等、また版本の類等を読み、近世の村落に生活する人々のさまざな様子等を学びます。その前提として、史料読解の基礎的な素養は必要ですので、筆で書いた文字の読み方を身につけます。それは、現代の活字とは全く異なった字体の場合がほとんどです。また、異体字といってそもそも現在通常に用いられているものとは異なる字体のものもあります。仮名についても、現在用いられている字体に限らず変体仮名もよく習得する必要があります。この授業では実際の古文書に即しつつ、上記の内容について取り組みます。

  • 文化史演習

     『日本書紀』の推古天皇の巻(推古紀)を講読する。『日本書紀』は、養老4年(720年)に撰上された日本最初の勅撰歴史書(六国史の第一)である。全部で30巻からなり、推古紀は、その第22巻にあたる。推古天皇の在位期間は、『日本書紀』の記述に従えば、西暦にして592年から628年にあたる。この時期は、一般的には、日本に古代国家が形成されていく上での一つの画期とみられている。この時期を知る基本史料が推古紀であるが、その記事内容のすべてをそのまま事実の記録とみることはできない。この演習では、推古紀の講読を通して、史料批判の方法を学ぶとともに、この時期の歴史的意義を探っていくこととする。また、ほぼ同時期の日本(倭)のことを記した史料である『隋書』倭国伝もあわせて講読する。

講義科目
  • 文化史特殊講義

     7世紀政治史について、飛鳥?白鳳文化との関係に視点を置いて講義する。前期は、欽明朝の「仏教公伝」から皇極4年(645年)の「乙巳の変」までを範囲に、その間の政治史を、中国?朝鮮半島諸国との交流と飛鳥文化の在り方にかかわらせて取り上げる。後期は「大化改新」から平城京遷都までを範囲に、その間の政治史を、やはり中国?朝鮮半島諸国との交流と白鳳文化の在り方にかかわらせて取り上げる。

  • 歴史学特殊講義

     現在の日本人の文化や価値観には、それぞれに由来や背景があります。とくに江戸時代は、その基礎となるものが多く形づくられた、日本の歴史の中でも大変興味深い時代のひとつと言えるでしょう。本講義では、江戸時代の社会構造や政治、生活、思想、宗教、文化などを幅広く取り上げます。また、さらに必要に応じ、古代?中世から近代?現代までの変遷なども含めて考察していくことで、江戸時代という時代から歴史を捉え直す視点を身につけていきます。

  • 民俗学特殊講義

     民俗芸能の実践を、現代社会の変貌のなかでどのように理解することができるか。とりわけ、高度経済成長期の社会の再編を経て、地域における伝統的な生活様式の維持がますます困難になる現在において、民俗芸能の実践は、担い手にとって、またそれを享受するものにとってどのような意味をもつのか。民俗芸能は、「伝統」として受け継がれてきたものであると同時に、表現の文化として絶えず時代の変化に合わせて創造され解釈されるという、一見すると相反する性格をあわせもつ。このユニークな二面性を意識しながら、「民俗芸能を伝える」という経験の総体的な把握を目指す。

  • 文化人類学特殊講義

     本講義は、「エスニシティ?共生の人類学」というテーマで、現代日本の「多文化共生」の将来を展望することを目的とする。そのために、文化人類学およびその隣接分野において蓄積されてきた民族?エスニシティをめぐる議論を再考し、それに基づいて、「多文化共生」のあり方を検討していく。その過程では、日本における民族問題として長い歴史をもつアイヌ民族の事例を適宜、取り上げていく。生活世界における人間同士の結びつきという観点から、「共生」とはいかにして可能かという問いへと切り込んでいく。

自由科目
  • 日本文化史

     歴史の史資料の中には、さまざまな動物たちが登場する。犬や猫といった身近なものもいれば、龍や鵺といった想像上の生物もいる。本講義では、ねずみからはじまる十二支の動物たちを中心に、それぞれの伝承や捉えられ方を紹介する。

  • 東洋文化史

     この講義の目的は造形作品を通して、文化の視点から東アジアの歴史を検討することにある。具体的には前期は陶磁器、後期は仏教の造形を取り上げる。
    【前期:陶磁器】
     陶磁器は中国文化を代表する造形作品である。中国陶磁器が世界的に高い評価を得た背景には、絶えず技術革新を追求し、新しい製品を生み出してきたことがある。授業では時代ごとに代表的な作品を検討することで、中国陶磁器の変遷とその背景となった中国文化の歴史を概観し、さらに東アジアやヨーロッパに与えた影響についても言及したいと考えている。
    【後期:仏教の造形】
     インドで成立した仏教とその造形は、中国にも伝来し定着していった。仏教とその造形を受容した中国では、自らの伝統や文化に基づき多様な造形を生み出した。授業では起源であるインドの造形、伝播の途上にある中央アジアの作品を概観し、そのうえで南北朝時代から隋唐時代にかけての中国での仏教の造形の受容と展開のあり方を検討する。あわせて日本への影響についても言及したいと考えている。

  • 西洋文化史

     西洋文化を学ぶ上で、世界最大のベストセラーである「聖書」に対する知識なしに理解する事はおよそ不可能といえるだろう。
     この授業では、その「聖書」の理解への第一歩として、「聖書」の翻訳(特に英語訳)をめぐる歴史を通じて英米、大陸ヨーロッパのキリスト教の歴史的展開、文化(音楽?美術?文学など)、そしてそこから生じる問題(社会?政治)を見ていきたい。

  • 日本史概説

     今、学生の皆さんには、何かとグローバル化が求められています。真のグローバル化とは、それぞれの立場を尊重しつつ、自分の立場も明らかにし、その上で理解し合うことです。そのためにはまず、自分はどのような背景を背負っているのかを認識する必要があります。そこで、この授業では、日本人はどこからやってきて、後に誕生した古代国家は、どのような機能を有し、やがて成立する武家政権は、どのような都市を築き、その後発展する江戸文化には、どのような意味があり、近代化の中、どのような経過を経て軍事国家へと変貌を遂げ、戦後どうして日本はいち早く復興できたのか、など、日本の歴史を原始?古代から現代まで概観します。

  • 人文地理学

     地理学は地表で生起するさまざまな現象を、空間的なものとしてとらえることを重視してきた。この授業では人文地理学の基本的事項を概説し、人文地理学を構成する諸分野の内容を、わが国の地域現状を踏まえ、Multi-scaleの観点から講義する。授業を進めるにあたっては、地図のみならず多くの写真?映像?図表を使用する。

  • 地理学講義

     一年を通して自然地理に関する内容の講義をおこなう。 【前期】:関東平野と東京周辺の台地を例に、第四紀以降(260万年前以降)の自然環境の変遷と地形の成り立ちを探る。 【後期】:山はなぜ様々な景観を見せるのか、なぜ日本は地震が多いのか???、山地や台地でみられるさまざまな地形の成因を探り、第四紀の日本列島の地史を解明する。また、人為的な影響によって引き起こされた自然環境の変化に関しても解説したい。

  • 地誌学

     日本の首都である東京を主たる事例に、地誌学の根幹である“自然と人間の関わり”を「環境と暮らし」の視点をもって、「地域」について総合的かつ多様な切り口から見つめ、出来事や文化?歴史?伝統などについて考える。豊かな大地といわれる日本列島をわれわれの生活ステージとしてあらためて見なおし、自然環境と歴史?文化?経済?社会などの人文環境との総合的な分析?探求の視点を持って比較文化論的に地誌学を学ぶ。比較対象事例として、ヨーロッパの自然や地域?都市の実態、文化?伝統?暮らしなどについて取り上げる。資料?画像などを使用して講義する。

  • 考古学

     考古学は「モノ」によって人類史を復元していく学問です。人類が残したモノとは、石器や土器にはじまり、青銅や鉄などの金属製品など多種多様で、ヒト(人骨)そのものが研究資料の対象にもなります。どのような研究?調査が進められ、何が明らかにされているのかを日本考古学の成果を中心に紹介し、また中国や西アジア、エジプトなど世界各地の遺跡や遺物を紹介しながら考古学の世界を概説します。

ゼミナール
  • ゼミナール

     本ゼミナールでは、以下の2つの課題に取り組む。
     第1に、『リーディングス 日本の教育と社会』(全20巻、日本図書センター)、『教育学年報』(全10巻、世織書房)、各学会誌所収の論文のなかから、受講生の疑問や関心に即した諸論文を読むことを通じて、各自の疑問や関心を教育学的問題に設定していく視角?知識?思考を摂取していくこととする。
     第2に、各自が設定した課題に基づき、卒業論文を作成する。

  • 卒業論文

ある学生の1年次の時間割

ある学生の1年次の時間割

取得可能な免許?資格

  • 中学校教諭1種(社会)
  • 高等学校教諭1種
    (地理歴史?公民)
  • 学芸員
  • 社会調査士